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  EF-M
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キャノンEOSシリーズは、レンズ内にAF用モーターを設置することでスピード、静粛性においてAF一眼レフ戦争を制した、などと評価されてきた。
妥当な見解だと思う。
しかしここに、その肝腎要のAF機構をかなぐり捨て、MF専用機と化したモデルがある。EFマウントレンズにMFレンズは用意されていないにもかかわらず、である。
EF-Mは輸出専用機。機能を削ぎ落とし、その挙句もっとも長所であった機能までも失ったカメラ、海外ではこういう物件に対し如何なる観点から需要があるのだろうか?
ボディ上面の二つのダイヤルに圧倒される。右側に絞りダイヤル。LポジションとAポジションに続いて絞り値が32から1(!)まで並ぶ。1とはあのEF50mm F1の「1」のことに違いない。しかしこのボディにあの超弩級レンズを装着した強者は歴史上何人存在するのだろうか。左に視線を転ずると、シャッタースピードのダイヤル。左側にシャッタースピードダイヤルがあるのは他に京セラコンタックスくらいであろうか。こちらにもAポジションがあり、左右ダイヤルをAポジションに合わせるとプログラムAEとなる。両ダイヤルとも「摘む」のではなくそれぞれ親指で操作するようになっているが、クリックが微妙に重く、力を入れると壊れてしまうのではないかと心配になる強度であり、使い勝手は良くない。露出補正はシャッターボタン手前のEXP.COMP.ボタンを押しながら右親指で↑↓ボタンを操作するのだが、これも使い勝手が悪い。EOSボディは露出補正がしやすいのが長所のひとつなのに...
EF-Mには液晶がない。フィルムカウンターもアナログなのだ。露出のズレはファインダー内表示が頼りであって不便だ。とにかく露出、シャッタースピード、フィルムカウント、すべてアナログ表示であり、これはコスト削減の結果なのか。
フィルム給送はプリ・ローディング方式。巻上げはうるさい。EOS Kissに比べてもかなりうるさい。Pentax MZ-Mに比べてもうるさい。そして微妙に巻上げが遅い。おそらくEOS 1000シリーズレベルだと思われる。
称賛すべきところの無いダメカメラのようにも思える。敢えて長所を挙げるなら、ファインダーのキレだろうか。New EOS Kissに比べても明るくピントが合わせやすい。これはダハ・ミラーではなくペンタプリズムを採用しているのだろう。暗いM42レンズを使うときに威力があるかもしれない。しかしその分ボディ重量が増加しているように思う。
古いEOSボディで問題なのはシャッターにオイルが出ること。中古ボディのほとんどにこの症状があるらしい。本機もわずかにこの症状が出ているが、今のところネガフィルムでは露出に影響は見られない。綿棒にベンジンを染込ませ慎重にかつ辛抱強くオイルを拭き取るという単純な方法が有効らしい。とりあえずやってみようか。
Canon EF-M + Carl Zeiss Jena Pancolar 55mm F1.4
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